図書館ごくらく日記

図書館に関するいくつかのトピックス

図書館外のサービスポイント

 公立図書館は、ふつう、分館(地域館)をつくったり、自動車文庫を走らせるなどして、地域によるサービス格差を小さくします。それを貸出・返却の面で実現しようとするのが、自治体内のあちこちに設ける図書館外のサービスポイントです。多くは公民館、役所とその支所などの公的施設ですが、中にはコンビニやスーパーマーケット、ホテル、書店などが協力している例もあります。

 そのありようは、①予約資料の受取りと借りた資料の返却ができる、②借りた資料の返却だけができる、③「配本所」などと名づけられたサービスポイント、の3種類に分けることができます。以下にいくつかの例をご紹介します。

 

(1)予約資料の受取りと返却ができる例

所沢市立所沢図書館(埼玉県) = 市内のファミリーマート7店舗、ミニストップ1店舗、公民館分館1館。

横須賀市立図書館(神奈川県) = 京浜急行線の7駅とJR線の1駅に返却ポスト。また、2つのコミュニティセンターと市役所の市政情報コーナーも同じ。

横浜市立図書館(神奈川県) = サービスポイントは行政サービスコーナーや地区センター、コミュニティハウスなど9施設。

紀宝町立鵜殿図書館(三重県) = 紀宝町役場と生涯学習センター『まなびの郷』。

高槻市立図書館(大阪府) =公民館6館・樫田支所。これは公民館に図書館の支所のような役割をもたせる「まちごと図書館」事業のひとつ。

鳥取県米子市では、平成13年度から現在まで、「市役所の既存の業務として公用車による文書の配送(市内小中学校・公民館等に公用車が巡回)を行っていて、そのシステムに、米子市立図書館から、市内小・中学校図書館へのリクエスト貸出図書を加えることにより、効率的に図書が学校へ配送するシステムが確立されました。市役所担当課、市立図書館、市内小・中養護学校が連携しながら、現在も継続して行われています。平成16年度より学校間のリクエスト貸出も加わり、米子市立図書館を中継にしてこのシステムで配本・回収しています。」

高松市図書館(香川県) = 市内のコープかがわ(7店舗)は返却ボックスのみ。白洋舎郷東町本店、高松シティホテルは返却ボックスの設置のほか貸出も。

串間市立図書館(宮崎県) = 市内のファミリーマート3店舗。

 

(2)返却だけができる例

 流山市立図書館(千葉県) = 市内各所の鉄道駅(流鉄流山線東武野田線、JR、つくばエクスプレスなど)に返却ボックス。

 海老名市立図書館(神奈川県) = 東柏ケ谷小学校市民図書室、市役所、海老名駅TSUTAYA、ローソン3店舗など、9か所に返却場所。

 川崎市立図書館(神奈川県) = 4か所の行政サービスコーナーなどに返却ポスト

平塚市図書館(神奈川県) = 7公民館など9施設を返却場所に。

甲府市立図書館(山梨県) = 図書に限り8公民館(南西・北・東・北東・南・西・遊亀・中道)でも返却可能。

 橿原(かしはら)市立図書館(奈良県) = 近鉄駅前(8駅)、スーパーマーケットの駐車場、銀行の出張所前、市営住宅案内図前など全部で市内12か所に返却ポスト

 和歌山市民図書館(和歌山県) = 市政の窓口である41の支所・連絡所その他でも返却が可能。

 明石市民図書館(兵庫県) = 書店2店、高齢者ふれあいの里4などを含む13か所の返却場所。

水俣市立図書館(熊本県) = コンビニ(ローソン)や市役所に設置したブックポスト。

鹿児島市立図書館(鹿児島県) = 市役所の支所前、電停前など、市内13か所に設置されたブックポスト。

 

(3)配本所などのサービポイント

 滝上(たきのうえ)町図書館(北海道)は、住民の身近な場所に配本所を設けていましたが、2016年9月から新たに「小さな図書館」と称する「濁川郵便局、滝西郵便局にも設置」しました。本は数十冊の実用書や小説で、毎週金曜日に入れ替えられます。(20170312)

 また、「こども園、中学校、交流センターぴあ、スポーツセンターなど町内の各施設にも本の貸出をしております。ご希望があれば、配本所・配本コーナーを設置します。ご相談ください。」(20181114)

 浦安市立図書館(千葉県)には「順天堂病院の入院患者の方にご希望の本をお届けするサービスがあります。リクエストの受け取りは、図書館から司書が病室まで伺い、本をお届けします。浦安市民以外の方も、入院中はご利用できます。」

 また、東京ベイ浦安市川医療センターには図書館の本を利用した「図書コーナー」を設置しています。(20161002)

 稲城市立図書館(東京都)は、稲城市立病院内に「病院配本所」を設けており、月曜日から金曜日の13時から16時まで開館しています。入院患者が対象の配本所です。(20161229)

 杉並区立図書館(東京都)は「地域・家庭文庫の活動を支援しています。」

対象となる文庫は「自宅などで、自宅の周辺に住んでいる児童等を対象に無償で図書の閲覧及び貸出を行うほか、これに付随する活動を行う個人及び団体」で、登録後に区立図書館から受けられる支援は「図書の貸与など」となっています。(20181114)

 山梨県中央市立玉穂生涯学習館(山梨県)は、「山梨大学医学部小児科に「ミニ子ども図書館」を開設して、毎月本の入れ替えを行なっています。」(20170112)

 枚方(ひらかた)市立図書館(大阪府)では、「自動車文庫が、市立ひらかた病院と星ヶ丘医療センターへ2週間に1回巡回し、本の貸出を行っています。また、病児保育所などへ団体貸出を行っています。」(20170120)

 川西市立中央図書館(兵庫県)は、「2009年2月より、市立川西病院の入院病棟3-5階の面会コーナーと、外来2階小児科待合に、図書館のリサイクル本を設置しています。定期的に配本していますので、ご自由に利用してください。」(20170125)

 鳥取県の南部町立図書館(鳥取県)は、「毎月一回、西伯病院に町立図書館の本の出前」をします。返却は、西伯病院玄関内にある本の返却ポストへ。(20160801)

 徳島市立図書館(徳島県)は、図書館や移動図書館を利用しにくい市民のために、「地区の公民館や市周辺部の小学校など69か所(平成29年4月1日現在)の配本所に配本」をしています。リストによれば、配本所は幼稚園、小学校、児童館、公民館、コミュニティセンター、高齢者集合住宅、病院などです。

 指宿(いぶすき)市(鹿児島県)の指宿図書館では、「幼稚園・保育園や校区公民館など希望の団体に対し、鹿児島県立図書館の貸出文庫を活用して配本。」また、同市の山川図書館では、一坪図書館と称して、「公民館や一般家庭に、鹿児島県立図書館から借りた本をミニ文庫として配置しています。誰でも借りる事ができます。」(20160922)

枕崎市立図書館(鹿児島県)には、5か所の公民館のほか、健康センター、児童館、児童センターなどの配本所があります。定期的に本を入れ替えていて、入れ替える冊数は400~500冊です。(20181114)