図書館ごくらく日記

図書館に関するいくつかのトピックス

バラエティー豊かな公立図書館

公立図書館の団体貸出(2)学校への団体貸出

公立図書館は自治体内の学校をさまざまに支援しています。そのひとつが資料面の支援で、団体貸出による支援です。ただし、市区町村立図書館のウェブサイトを調べますと、かなりの図書館が学校への団体貸出を「利用案内」の中に含めておらず、「学校支援」「…

公立図書館の団体貸出(1)地域のグループや施設への貸出

団体貸出とは 公立図書館が、地域の学校、自治会などの組織、福祉施設や職場、グループや団体などに資料を貸し出すことを、団体貸出といいます。団体の実態は、数人のグループから児童・生徒が数百人の学校まで、さまざまです。ですから、このばあいの《団体…

公立図書館の返却遅れ(延滞)を減らす試み(外国のばあい)

今回は、資料の返却遅れ(延滞)を減らすための努力の外国版です。 調査対象は23か国の100市の図書館、そのほとんどがヨーロッパ、アジア、北アメリカにあり、内訳は次のとおりです。 17市=アメリカ 7市=ドイツ 6市=イギリス、ニュージーランド 5市=オー…

公立図書館の返却遅れ(延滞)を減らす試み(日本のばあい)

図書館の利用者が借りた資料を返却期限までに返さなかったり、督促をされても返さなかったりすると、図書館はルールを守らない人のために余分の仕事をしなければなりません。とくに返却遅れの資料をほかの人が予約しているばあいは、図書館だけでなく予約者…

公立図書館でよく借りられている資料

この調査について 目的 現在、日本の公立図書館で、どのような資料がよく借りられているかを具体的に調べること。 調査対象 全国95自治体の図書館。 その地区別の内訳は、北海道・東北=14、関東=19、中部=18、近畿=11、中国・四国=19、九州・沖縄=14。…

公立図書館の無料宅配サービス

公立図書館で、「図書館の利用に障害のある人」に対するサービスが広がっています。広がっているのは、サービスを実施している自治体、サービスの種類と対象者です。 その中で、かつて肉体的に何らかの障がいをもつ人たちに限っていた無料の宅配サービスは、…

移動図書館(自動車文庫)

公立図書館は、近くに図書館(中央館・地域館・分館・図書室など)がない地域住民のために、特製の自動車などに本を積んで巡回し、貸出・返却・予約、調べもの相談(レファレンス・サービス)などのサービスをしています。 これを日本ではふつう移動図書館と…

公立の子ども図書館

公立図書館は、乳幼児から高齢者まですべての住民にサービスをするのが基本ですから、ほとんどすべての公立図書館は乳幼児と児童生徒にもサービスを提供しています。このブログの「乳幼児とその親に対するサービス」では、そのような図書館の授乳室、赤ちゃ…

デジタルアーカイブ

日本には、史学の専門家でさえ見たことのない古い図書・文書・記録・絵図のたぐいがたくさんあります。それらはおもに大学図書館、公立の図書館や文書館、博物館、歴史館などに眠っています。中には旧家が個人的に保存してきたものもあります。 この宝の山を…

大学図書館などとの連携・協力

大学図書館の地域住民への開放 現在、日本の大学・短大・高専の図書館の多くが地域住民に開放されています。その傾向は1990年代後半から加速しました。 私が2003年に4年制大学の図書館の住民への開放状況をウェブサイトによって調べたところ、全国689の大学…

学校と学校図書館の支援

公立図書館については貸出サービスがクローズアップされがちですが、自治体内の学校(図書館)との連携や支援も、多くの公立図書館が行っている重要なサービスのひとつとなっています。そのばあい、対象となっているのは小学校と中学校が中心です。 専任の職…

図書館外のサービスポイント

公立図書館は、ふつう、分館(地域館)をつくったり、自動車文庫を走らせるなどして、地域によるサービス格差を小さくします。それを貸出・返却の面で実現しようとするのが、自治体内のあちこちに設ける図書館外のサービスポイントです。多くは公民館、役所…

図書館利用カード

公立図書館の利用カードも、いろいろな面でバラエティー豊かです。たとえば、カードの名称など統一する必要はないと思われるかもしれませんが、せめて2、3種類に集約されていれば、ネットやデータベースを検索するときに、今よりずっと時間の節約ができます…

ボランティア(図書館友の会)

以前から図書館でのボランティア活動は公立図書館、学校図書館、大学図書館で行われてきました。中でもいちばん活発なのが公立図書館でのボランティア活動で、最近では小学生から高齢者まで多くの人が参加しています。 文部科学省の「社会教育調査:平成27年…

証明書等の交付サービス

近年、住民に各種証明書を交付・発行する公立図書館が出てきました。私が2016~17年に図書館のウェブサイトを調べたとき、そのサービスを実施する図書館は多いとは言えないものの、北海道から沖縄県まで拡がっていました。 一方、この種の行政サービスをコン…

電子書籍の利用(電子図書館サービス)

電子書籍のメリット 公立図書館による電子書籍の提供には、利用者にとって次のようなメリットがあります。 ①自宅で貸出・返却の手続きができること。 ②24時間いつでも手続きと利用ができること。 ③動画や3Dの本(図鑑など)が含まれる例があること。 サービ…

データベースの利用

日本の公立図書館でのデータベース利用は、残念ながら、まだ低調だと言わざるを得ません。 以下は、例によって2016年春から17年春にかけて全国の公立図書館のウェブサイトを調べた結果です。調査時点からすでに2年を経過したデータを含んでいることを、ご承…

乳幼児とその親に対するサービス

最近の日本では、赤ちゃんや幼い子どもを連れた親が過ごしやすいように配慮する施設が増えつづけています。公立図書館も例外ではありません。 授乳室 まず名称ですが、公立図書館では「授乳室」が圧倒的に多く使われています。ほかに「乳幼児室」「保育室」…

ベストセラー本の寄贈依頼

日本書籍出版協会の文芸書小委員会は2016年11月、全国の公共図書館長あてに「公共図書館での文芸書の取り扱いについてのお願い」という文書を送りました。その文書の中に次のようなくだりがあります。 「このように著作者、出版社、書店を支える構造について…

資金調達(ファンドレイジング)

自治体財政の逼迫から、最近の公立図書館は資金調達や経費節減にさまざまな工夫をこらしています。 雑誌スポンサー制度 雑誌スポンサー制度とは、図書館が購入している雑誌の年間購入費を地域の企業・団体・商店・学校法人・個人などが肩代わりし、その見返…

住民が利用できる学校内の図書館

最近の日本では、複合施設の中に公立図書館が入るというケースが増えています。複合施設を構成するのは、図書館のほかに、名称はさまざまですが、ショッピングセンター、生涯学習センター、文化会館、博物館、文書館、公民館、役場、駅舎などです。 複合施設…

複写サービス

日本の公立図書館での複写(コピー)サービスはおおむね次のようになっています。このサービスに関する限り、日本の公立図書館はほぼ画一的と言えるでしょう。 モノクロ(白黒)コピーのばあいは、1枚10円から30円の幅の中にあり、圧倒的に多いのは1枚10円で…

学習室

「全国の自習室がある図書館 人気ランキング」というウェブサイトには582件の情報があるようです(2018年4月)。 私の2016年~17年における公立図書館のウェブサイト調査では、学習室の情報を「利用案内」や「館内平面図」「よくある質問」から得ましたが、…

広域利用

「広域利用」とは、公立図書館が行政地域の枠をこえて、他の自治体の人びとにもサービスを提供することです。多くのばあい、複数の自治体が協定などを結んで実施しますが、このサービスが普及するにつれて、協定などを度外視した「一方的宣言」が目立つよう…

開館日数

全国的には、週に1日に加えて年末年始、蔵書点検期間を休館日とする公立図書館が多いと言えますが、同時に、開館日数についてはかなりバラエティ豊かでもあります。 開館日数の多い図書館 休館日のない公立図書館が現れています。 多賀城市立図書館本館(宮…

開館時間

公立図書館の多くは、平日、だいたい午前9時から10時のあいだに開館し、午後6時から7時のあいだに閉館しています。もちろん、午後5時までしか開いていない図書館や午後8時前後まで開いている図書館も少なくありません。 利用者としては開館時間の長いほうが…

貸出冊数

1963年に日本図書館協会が出版した『中小都市における公共図書館の運営』という調査報告書に、次のようなくだりがあります。 「図書は2冊以上貸したい。本が少いから1冊ということをよくきくが、なかなか図書館へ来られない人が多いことを考えて、2冊まで…

統計による大まかな現状

まず、統計によってわかる日本の公立図書館の現状をざっと見ておきましょう。 以下は、『日本の図書館:統計と名簿 2017』(日本図書館協会、2018.2)によります。これは、日本図書館協会の図書館調査事業委員会が2017年4月1日を基準として行った調査の結果…