図書館ごくらく日記

図書館に関するいくつかのトピックス

住民が利用できる学校内の図書館

 最近の日本では、複合施設の中に公立図書館が入るというケースが増えています。複合施設を構成するのは、図書館のほかに、名称はさまざまですが、ショッピングセンター、生涯学習センター、文化会館、博物館、文書館、公民館、役場、駅舎などです。

 

複合施設ではないのですが、日本には、小学校や中学校の敷地内にあって住民が利用できる図書館があります。それらはおおむね次の4つのタイプに分けることができます。

 

A=学校の敷地内に市区町村立図書館がある例

B=学校図書館を住民に開放している例(地域開放型学校図書館

C=学校内の図書館が学校図書館と公立図書館を兼ねる例(学社融合型図書館)

D=その他の例(保育園内、私立大学内、学校図書館公共図書館が同室など)

 

Cの「学社融合」とは、1996年に生涯学習審議会が提唱した考え方で、学校教育と社会教育の要素の一部を融合して子どもの教育を進めようとするものです。

 以下にそれぞれのタイプの例を数件ずつ示します。

 

A=学校の敷地内に市区町村立図書館がある例

 岩見沢市立図書館(北海道)は、市立第一小学校の校舎内に図書館を設置しています。「幼児から大人まで楽しめる絵本、児童書、小説、実用書など生活に身近な本を用意しています。また、市内の図書館で借りた本の返却や予約した本の受け取りもできます。」

 上野村図書館(群馬県)は、小学校図書館の1階にあり、開館は月・水・金曜が午後2時から午後6時半、木曜が午後2時から午後5時、土曜が午前9時から午後5時。毎週木曜日には「午前10時~12時まで乳幼児を対象としたお話しの会を開催」しています。

 千代田区立昌平まちかど図書館(東京都)は、「要望の高い小説などを中心に約24,000冊、雑誌28タイトル・CD・ビデオなどがあり、地域の方が気軽に立ち寄れる図書館です。昌平小学校・同幼稚園・児童館との複合施設の1階にあり、昌平小学校図書室の本も利用出来ます。」

 小松市立図書館分館(南部図書館)(石川県)は、「南部中学校特別教室棟3階建のうち、1階部分(図書館・視聴覚室・会議室・和室・事務室・トイレ)」を占めています。特色は、「地域の住民に、小松市立図書館と同等のサービスの提供」していること。また、「幼児・児童・生徒・高齢者が楽しめる場」とのことです。

 玉名市図書館(熊本県)の玉名市横島図書館は、「一度来たら帰りたくない『帰ろごつなか図書館』をコンセプトに、横島小学校で使用しなくなった教室、いわゆる「余裕教室」を増改築して、平成15年7月7日に開館しました。」「館内には、絵本をはじめ、読み物・調べ学習用資料などの児童書が充実しており、読み聞かせに適した大型絵本も数多くそろえています。また、料理・手芸・健康・スポーツなどの一般向けの資料も充実しており、小さい赤ちゃんから大人の方までゆっくりと楽しめる図書館となっています。」

 

B=学校図書館を住民に開放している例(地域開放型学校図書館

 南部町(青森県)の町民図書室は、「南部町立名川中学校図書室の1階を一般開放しており、町民の皆さんどなたでも利用できる施設です。蔵書数は約2万7千冊。毎日、多くの町民に利用されています。また、毎月第4日曜日には、子ども達に読書に親しんでもらうため、おはなし会を開いています。

 近隣市町村の歴史資料を揃えた資料室や、来館者が利用できるパソコンも備えており、親しまれ開かれた図書室を目指しています。」

 西川町(山形県)の西川小学校図書館は、「利用者カード発行の対象は、西川町・西村山管内にお住まいの方、西川町に通勤されている方です。町外の方は身分を証明するもの(健康保険証・運転免許証など)が必要です。」開館時間は平日午前9時~午後6時、土日祝日は午前9時~午後5時。休館日は毎週水曜日。この町には別に町立図書館があります。

 草加市(埼玉県)には、地域開放型図書室と称して、小学校内に成人も利用できるスペースがあります。

 「全小学校で行っている中央図書館サービスコーナーの運営に加え、さらに読書活動の一層の推進を図るため、西町小、川柳小、高砂小学校にて地域開放型図書室を行っています。各場所で借りた図書はどこでも返却できます(中央図書館の視聴覚資料のビデオやCD等は除く)。」

 開放する日時は「毎週日曜日、10時から16時(夏休みも利用できます)」、開放する場所は、西町小学校、川柳小学校、高砂小学校の図書室。取扱業務は、「貸出、返却、資料の予約・リクエスト(視聴覚資料除く)、利用登録、利用カード再発行の申請、住所・氏名等の変更届出申請、パスワード登録」。

 各務原(かかみがはら)市立図書館(岐阜県)では、市内の小中学校の図書館を市民に開放しています。開放日は授業のある日で、時間は1日2時間程度(学校によって異なります)。「市民の方を対象に、学校図書館の本の貸出しを行っています。また、学校図書館で中央図書館の本の予約や本の受け取りをすることもできます。学校図書館もしくは中央図書館の本どちらか1冊を1週間借りることができます。」

 海士町(あまちょう)(島根県)では、「島まるごと図書館」を推進し、8分館を設けていますが、そのほかに「福井小学校図書館を月~金曜日(午前9時~12時)に一般開放しています。」授業日のみの開放で、図書館は学校の玄関を入ってすぐのところにあります。

 萩市山口県)では、田万川中学校図書館を地域住民等が利用できます。貸出をしているほか、4台のパソコンでインターネット接続も可能です。

 

C=学校内の図書館が学校図書館と公立図書館を兼ねる例(学社融合型図書館)

 以下は、学校図書館と公立図書館が一体となった図書館の例です。

渋谷区立図書館(東京都)の1館である臨川みんなの図書館

志木市立図書館(埼玉県)の「いろは遊学図書館」

木祖村(長野県)の源流図書館と麻績(おみ)村(長野県)の麻績図書館

阿賀野市立図書館(新潟県)の1つである水原中学校市民図書室

いなべ市図書館(三重県)の員弁(いなべ)図書館

東近江市立図書館(滋賀県)の五箇荘図書館

萩市立明木図書館(山口県

 

D=その他の例

 調布市立図書館(東京都)の5分館は保育園や児童館の2階にあり、1分館は小学校と併設されています。

 海老名市(神奈川県)には、東柏ヶ谷小学校図書室内に市民図書室があり、毎週土・日曜日 午前9時から午後5時まで開室しています。

 島田市立図書館(静岡県)の「川根図書館は、川根小学校北側に併設され学校図書館と同一室内にあるため、学校でどのような本が読まれているかを閲覧でき、学校図書館でおこなわれる授業なども見学できます。」

 高槻市立中央図書館(大阪府)の「ミューズ子ども分室」は関西大学の高槻ミューズキャンパス内にあります。ここは子ども向けの絵本や児童書を約2万冊そろえており、月曜から土曜の午前10時から午後5時まで開館しています。

 茨木市立図書館(大阪府)の庄栄図書館は、「庄栄小学校と渡り廊下で結ばれている珍しい図書館」です。