図書館ごくらく日記

図書館に関するいくつかのトピックス

電子書籍の利用(電子図書館サービス)

電子書籍のメリット

 公立図書館による電子書籍の提供には、利用者にとって次のようなメリットがあります。

 ①自宅で貸出・返却の手続きができること。

    ②24時間いつでも手続きと利用ができること。

 ③動画や3Dの本(図鑑など)が含まれる例があること。

 サービスを提供する公立図書館にとっても次のようなメリットがあります。

 ①利用者に提供する資料の幅が広がること。

 ②本などの現物を貸借する手続きが不必要なこと。

 ③図書館の永遠の課題である資料収蔵問題から、わずかながら解放されること。

 ④配列の乱れを正す作業から解放されること。

 ⑤汚れや破れなどによる劣化の心配がないこと。

 

全体的な傾向

 サービスを提供している図書館の数はまだかなり少なく、大都市圏の東京都や大阪府などでも10館に満たないのが現状でした。

 提供している本・資料は実用書や文学作品が多くて専門的なものが少なく、タイトル数は数百から千タイトル前後の図書館がほとんどです。

 

 利用できる人は、当該自治体の住民に限る例がほとんどです。紙媒体の本を他の自治体の住民に貸し出す公立図書館はとても多いのに対して、電子書籍ではそのような例が見当たりません。

 

 ほとんどすべての図書館で、利用者が自宅で利用できるサービスとなっていますが、例外もありました。たとえば、東京都の千代田区千代田図書館と四番町図書館、中野区立図書館では館内利用に限定していました。

 

 返却については、利用者が返却手続きをするのがふつうですが、返却期限になると、図書館のシステムが自動的に返却手続きをする(利用できなくする)例もあります。たとえば、栃木県の大田原市立図書館・さくら市図書館・高根沢町図書館、埼玉県の桶川市図書館、香川県綾川町立図書館、まんのう町立図書館などです。

 

 貸出数はほとんどの図書館が2冊から5冊、期間は2週間前後が多くなっています。

 

 内容的に珍しいと思われたのは次の例です。

 関市立図書館(岐阜県)のNetLibrary (EBSCO紀伊国屋書店)のコンテンツは、おもに日本語の学術書です。

 また、大阪市立図書館は、「学術書・専門書を中心とした図書館向けの電子書籍サービス「eBook Collection (EBSCOhost)」を利用して、電子書籍をご提供しています。」

その内容は、「ビジネス知識の習得・資格取得・語学学習に役立つ本や、様々な分野の専門事典類、大阪に関する本、日本史の基本的な歴史文献を集めた『国史大系』など約1,500タイトルを提供しています。また、約3,500タイトルの外国語図書もご利用いただけます。」

 

調査時点で公立図書館の電子書籍サービスを確認できなかった20県

 青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島・群馬・新潟・富山・石川・福井・静岡・滋賀・鳥取・岡山・高知・長崎・宮崎・鹿児島・沖縄

 

珍しい試み

 千葉県の市原市は、韓国のソウル特別市江南区と情報化の分野と職員交流面の協定を結び、市民へのサービス向上を目指しています。その一環で、江南区が運営する電子図書館サービスを市原市でも利用できるようにしました。

 市内に在住・在勤・在学の人が利用手続きをすれば、江南区電子図書館への入場に必要なIDとパスワードを市川市から交付され、パソコンやスマートフォンを通じて多くの図書を無料で閲覧することができるとのことです。ただし、江南区電子図書館は韓国語表記となっています。(2016.9.29)

 

千代田区千代田図書館・四番町図書館(東京都)では、アニメーションブック(電子絵本)を読めるタブレットPCの館内貸出をしています。絵本の対象は1歳から6歳までで、タイトル数は76です。(2016.10.4)

 

 中野区立図書館(東京都)では、絵本、名作文学、コミック、および「学研ニューワイド教材ライブラリ」の電子資料を、中央図書館の特定のエリアで閲覧できます。

 中央図書館内には設置タブレットが10台と貸出用タブレットが4台あります。(2016.10.11)