日本の公立図書館でのデータベース利用は、残念ながら、まだ低調だと言わざるを得ません。
以下は、例によって2016年春から17年春にかけて全国の公立図書館のウェブサイトを調べた結果です。調査時点からすでに2年を経過したデータを含んでいることを、ご承知おきください。
なお、電子書籍のデータベース利用については、日を改めてご紹介する予定です。
データベースを利用できる図書館が多い都道府県(割合の上位10)
東京都=63市区町村中 31(17市・13区・都立)
静岡県=35市町中 12(9市・2町・県立)
滋賀県=19市町村中 6(4市・1町・県立)
神奈川県=33市町村中 10(9市・県立)
埼玉県=63市町村中 19(17市・1町・県立)
愛知県=54市町村中 15(12市・2町・県立)
茨城県=44市町村中 11(10市立・県立)
千葉県=54市町村中 13(10市立・県立)
大阪府=43市町村中 9(8市・府立)
京都府=26市町村中 5(4市・府立)
データベースを利用できる図書館が少ない県
青森県=41市町村中 0
山形県=35市町村中 0
秋田県=25市町村中 1自治体(以下同)(県立)
岩手県=33市町村中 1(町立)
和歌山県=30市町村中 1(市立)
愛媛県=20市町中 1(市立)
高知県=34市町村中 1(県立)
宮崎県=26市町村中 1(県立)
鹿児島県=43市町村中 1(県立)
そのほか、10県が2自治体。
利用に供する図書館が多いデータベース(上位10)
日経テレコン21=153自治体の図書館
「過去30年分の新聞、雑誌記事を中心に国内外の企業データベース、人物プロフィル」。
官報情報検索サービス=148自治体の図書館
昭和22年5月3日から直近までの官報。
聞蔵II=142自治体の図書館
D1-Law.com(法情報総合データベース)=110自治体の図書館
国立国会図書館デジタル化資料送信サービス=100自治体の図書館
「国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等(当館の承認を受けた図書館に限ります。)の館内で利用できるサービス」。
地方新聞=95自治体の図書館
いわゆる地方紙なので、内容はさまざま。
ヨミダス歴史館(または文書館)=82自治体の図書館
読売新聞記事、The Japan News、現代人名録など。
ジャパンナレッジ=73自治体の図書館
「約50種類の辞事典、叢書、雑誌が検索できる国内最大級の辞書・事典サイト」。
MagazinePlus=48自治体の図書館
「一般誌から専門誌、大学紀要、海外誌紙まで収録した日本最大規模の雑誌・論文情報(見出し)データベース」。
歴史的音源(国立国会図書館)=35自治体の図書館
「1900~1950年頃のSP盤等のデジタル化音源」。
そのほか、ポプラディアネット(子ども向け百科事典)、ルーラル電子図書館(農業関連情報)、ナクソスミュージックライブラリー(音楽)、JRS経営情報サービス、理科年表プレミアムなど、少なくとも65種類のデータベースがどこかの公立図書館で提供されています。
利用に供するデータベースの種類が多い図書館(上位10)
東京都立中央図書館=32種
大阪府立中央図書館=24種
奈良県立図書情報館=21種
長崎市立図書館=19種
おおぶ文化交流の杜図書館(愛知県大府市)=18種
埼玉県立図書館(熊谷館)=15種
葛飾区立図書館(東京都)=15種
さいたま市図書館=14種
三重県立図書館=14種
そのほか、10種類以上を提供する図書館が25館ありました。
提供と利用の方法など
ひとつの自治体に複数の図書館があるばあい、すべての館で同じデータベースを利用できる例は少なく、中央館でのみデータベースを利用できるという例が大半です。
ほとんどのばあい、利用できる人を当該自治体の住民に限っています。
利用はすべて無料です。
利用時間を1時間以内などと制限し、他の利用者が待っていないばあいに限って1回の延長を認める例が多くなっています。
多くの図書館がプリントアウトを認めていますが、認めていない図書館も散見されます。
珍しい例としては、図書館の職員による代行検索、業務用としてしか使えないばあいなどがあります。