図書館ごくらく日記

図書館に関するいくつかのトピックス

学習室

 「全国の自習室がある図書館 人気ランキング」というウェブサイトには582件の情報があるようです(2018年4月)。

 私の2016年~17年における公立図書館のウェブサイト調査では、学習室の情報を「利用案内」や「館内平面図」「よくある質問」から得ましたが、北海道、東北、北陸、中国の各地方で確認できた館数はあまり多くありませんでした。

 これらの学習室等(自習室・学習席・学習コーナーなど)の実態を分類してみますと、以下のようにきわめて多様であることが分かりました。なお、図書館が「読書室」や「閲覧室」という表現を使っているばあい、以下では原則として省いてあります。

 

ふつうに専用の学習室(自習室)がある例

 以下は何らかの特徴がある図書館の例です。

 多摩市立図書館本館(東京都)には38席のパソコンを持ち込める学習室があります。

 西東京市図書館(東京都)の保谷駅前図書館には学習室があり、図書館本体は午後8時まで開館のところ、学習室は平日午後10時まで利用できます。夜遅くまで使えるのは、この図書館が公民館との併設だからかも知れません。

 一宮市立中央図書館(愛知県)の5階には児童調べ学習席(36席)があり、6階には自分の資料を持ち込んで学習できる学習室(160席)があります。座席数の多さもさることながら、児童の調べ学習席が珍しいですね。

 刈谷市中央図書館(愛知県)では、開館前に利用者が80人を超えて並んだとき、あるいは、事前に座席数(118人分)を超えることが見込まれる中学校・高校の試験期間中に、特別閲覧室(学習室)の整理券を配布するとのことです。

 吹田市立中央図書館(大阪府)の3階には176席の自習室があり、池田市立図書館本館(大阪府)には92席の自習室があります。席数の多い例です。

 

利用者別の学習室の例

 利用者の年齢やライフステージで学習室(席)を区別している図書館があります。

 相馬市図書館(福島県)=中学生~大学生のための学習室(20席)。

 坂東市立岩井図書館(茨城県)=学生用(48席)及び成人用(20席)の学習室。

 前橋市立図書館(群馬県)=1階に社会人読書室、3階に学習室(中学生以上、120席)。

 飯能市立図書館(埼玉県)=1階に社会人読書席7席、社会人学習室6席、グループ学習室2室、十代の人の読書席など。2階に学習席45席。

佐久市立図書館(長野県)の中央図書館=高校生以上が使える学習室(56席)、誰でも使える新館2階の学習席(14席)。

 市立飯山図書館(長野県)=3階に、小中高校生と「パソコン・電卓などの音がしない静かな部屋で学習したい」人が利用できる学習室と、高校卒業以上の一般人で「パソコン・電卓などの音が出る機器を」使う人が利用できる多目的室。

 松戸市立図書館(千葉県)=学生用と一般用の学習室。

 台東区立図書館(東京都)の石浜図書館=中学生室(24席)と高大生室(30席)。

 坂出市立大橋記念図書館(香川県)=小学生以下の子どものための自習室。中学生以上は2階の自習室を利用。

 香川県立図書館の閲覧室=小中高校の児童・生徒が、土・日、祝日や学校の夏季休業中に利用できない社会人席(58席)を設置。

 愛媛県立図書館の自習席区分=「高校生以上のかたは2階の第1、第2学習室をご利用ください。」「中学生以下のかたは1階、子ども読書室をご利用ください。」

 

時間制限(入替え制)のある例

 牛久市立中央図書館(茨城県)の学習室は、「午前・午後・夜間の入替え制」となっていて、夜間は何と午後10時50分まで利用できます。

 台東区立中央図書館(東京都)の閲覧席(26席)を利用するには利用カードが必要で、午前9時から午後8時まで3時間ごとの入替制となっています。

 和泉市立和泉図書館・シティプラザ図書館、北部リージョンセンター(大阪府)の自習室は1日3回の入替制となっています。

 

座席指定(席札制)の例

 取手市立図書館(茨城県)の学習室は席札を受け取って利用するようになっています。

 行田市立図書館(埼玉県)では、館内の席を閲覧専用席と学習閲覧席の2種類に分けており、「学習閲覧席は、土日祝日及び学校の長期休暇期間中には指定制となり、図書館利用カードが必要」ということです。

 

目的別の学習室がある例

 八千代市立中央図書館(千葉県)には、さまざまなタイプの学習室があります。学習会などにも使える学習室1、音の出る機器を持ち込めない学習室2、一部で電源を使えてオレンジやベルガモットの香りを流している学習室3、学校のクラス単位で使えるグループ学習室、研修や会議で使っていないときに使える研修・会議室のほか、1人で研究や学習に使える個室が4室あります。

 

研究個室やグループ学習室がある例

 個人用の研究(学習)個室とグループ用の研究(学習)室の両方をそなえている例は、次の図書館です。

 千葉市中央図書館、北区立中央・葛飾区立中央・府中市立中央(東京都)、かほく市立(石川県)、八尾市立八尾(大阪府)の各図書館。

 

 少し変わったところとしては、次のような例があります。

 市川市立中央図書館(千葉県)には「シニアルーム」という部屋があり、これは「図書館の資料を使用する、社会人のための研究個室です。当日来館予約制で一定時間での入替え制となります。レファレンスカウンターで図書館利用券を預けて、鍵をお受取下さい。利用対象は市内在住・在勤の社会人の方」ということです。

 長崎市立図書館2階の自習用のスタディルームは77席あり、午前10時から午後9時まで使えます。また「図書館の資料を使って読書会や共通の調査研究をするために」5名から14名で使うグループ学習室が4室あり、利用時間は2時間。待っているグループがなければ、1回に限り延長できます。この図書館の開館時間は午後8時までですが、生涯学習エリアにあるスタディルームは午後9時まで利用できるのです。

 菊陽町図書館(熊本県)には、持込み学習ができる学習席(個室ではない)の他に、3人以上の学生(小学校・中学校・高校・専門学校・大学)のグループが利用できるグループ学習室や社会人ルームもあります。

 

閲覧室等の一部を学習席(学習コーナー)とする例

 北本市立図書館(埼玉県)には、学校の調べ学習やレポートの作成・調査に利用できる学習コーナー(48席)と図書館所蔵の本や新聞、雑誌を読んだり、それらを利用して調べものなどをできる閲覧席(31席)があるほか、「図書館内が混み合う土・日曜日や夏休みなどに、北本市文化センターの研修室などを利用して学習室を開室して」います。

 上越市立図書館の直江津図書館(新潟県)には、図書館資料を閲覧する「調査研究席」(4席)と試験勉強や自習などを持込み資料で行う「学習席」(64席)とがあります。

 豊岡市立図書館(兵庫県)は豊岡本館と5つの分館からなりますが、そのすべてに学習席があり、利用は自由です。豊丘本館は64席、分館は8席から23席まで。

 紀の川市立図書館の河南図書館(和歌山県)には「飲みものOKの「学習コーナー」」があって、「飲みながら読書や自習をすることができます。」

 

集会室や会議室を学習室に転用する例

 集会室や会議室を学習用のスペースとして転用する図書館もあり、以下にそのいくつかをご紹介しましょう。

 つくば市立中央図書館(茨城県)では、「土曜日・日曜日・祝日開館日・長期休業期間(夏休み・冬休み・春休み)に2階の集会室を学習室として開放」しています。

 安城市中央図書館(愛知県)では、「持込み学習は、大学生以下:3階特別閲覧室、社会人:2階:参考資料室」を利用することになっています。

 春日井市図書館(愛知県)では、文化活動室と会議室を学習室としており、それらを学習室として使えない時間帯があるため、学習室カレンダーがホームページに掲載されています。

 犬山市立図書館本館(愛知県)では、2階の会議室を「学習室」として、平日は約30席、土曜日・日曜日、国民の祝日は約60席を利用することができます。

 三郷町立図書館(奈良県)は、土曜日と日曜日、学習の場として図書館1階の生涯学習室(36人収容)を学生に限らず一般に開放します。

 三股町立図書館(宮崎県)は、多目的室を使わない日にそれを学習スペースとして開放しています。

 

分類がむずかしい例

 千葉県立西部図書館の閲覧席は、社会人席、社会人・学生席、窓辺優先席、電子機器席、一般席に分けられていて、一般席以外は座席券が必要です。ちなみに西部図書館の蔵書の中心は自然科学・技術・工学。

 千代田区千代田図書館(東京都)では座席がさまざまに区分されており、一般席、区民専用席、キャレル席、インターネット利用席、オンラインデータベース利用席、中高生の学習席(第5研修室)などとなっています。