図書館こぼれ話
図書館資料にかんする不法行為の全国的・長期的な統計はありませんので、どのような不法行為が最も多いかはわかりません。とはいえ、ある国が特定の時期に行った統計や特定の図書館の短期間の統計なら存在します。それらによって判明することは、どこの国で…
一般に音や声は、デリケートな問題を含んでいます。 読みたくない文字は読まなければすみ、見たくない物や風景は見なければすみます。ところが音声は、好き嫌いにかかわらず耳に飛び込んできます。耳にとびこんでくる音はさまざまです。建築現場での重機や金…
設立の基本的な理念に「社会貢献」や「社会奉仕」を掲げる団体は、日本にもたくさんあります。その多くは国際的な団体で、その末端の構成単位はそれぞれ独自の社会貢献活動を展開しています。ここでは、構成単位が比較的長期間にわたって図書館に本を寄贈し…
個人がまとまった蔵書を図書館に寄贈した例は、無数と言ってよいほどにあります。寄贈者の多くは作家や学者ですけれど、ほかにも実業家、政治家、軍人、官僚、宗教関係者、在野の研究者・専門家、(古)書店主、愛書家、旧家の当主、コレクター(地図・写真…
図書館は本の寄贈を受けるだけでなく、さまざまな機会に他の図書館へ本の寄贈をしてきました。 その中で、最近まで多かったのは、図書館が自館の刊行物(年報、要覧、報告書、紀要、蔵書目録など)を他館へ寄贈するというパターンでした。けれども、それらの…
日本では、国際的な文化交流や海外の理解を促進する手立てのひとつとして、さまざまな機関・団体が外国の図書館や大学、研究機関などに本を寄贈しています。 国際交流基金のプレスリリース(20191008)によりますと、2018年度調査(暫定)で、日本語教育を実…
(1)福島県立図書館の「県民のくらし応援文庫」 福島県立図書館は、「県民のくらし応援文庫」と名づけた図書を寄贈してもらう制度を2016年度からつづけています。方法は次のとおりです。(同館のウェブサイト、20200115) テーマは、県民の地域づくりや暮ら…
2017年12月2日、『日本経済新聞』の「ベストセラーの裏側」という欄に、西野亮廣(あきひろ)氏の『革命のファンファーレ:現代のお金と広告』という本についての記事が掲載されました。西野氏が全国の公立図書館にその本を1冊ずつ寄贈し、図書館での貸出が…
仕事や学業のために住いとは別の自治体に通う人にとって、職場や学校・大学の近くにある図書館を利用するほうが便利なばあいがあります。それについては、このブログの「広域利用」で書きました。 また、このブログの「図書館利用カード」では、国内の「複数…
公立や大学の図書館建設に際して多額の寄付をした人は、日本にもたくさんいます。ここでは、建設費の全額または大半を寄付した個人、グループ、企業、財団法人などの例をご紹介します。「多額」と確認できなかった例や、大学図書館については原則として省き…
前回は「自らが中心となって図書館を創った人たち」でした。今回は「多額の寄付によって図書館建設に貢献した人たち」です。このばあいもいろいろなケースがありますので、特徴的な例によって動機を考えてみたいと思います。 (2)多額の寄付によって図書館…
王侯や貴族、僧侶など特権階級の人ではなく、ふつうの人が図書館を創ろうとした動機は何だったんでしょうか。特徴的な例によって、それを考えてみたいと思います。 (1)自らが中心となって図書館を創った人たち 18世紀の後半に活躍したアメリカの政治家・科…
学校や大学の授業を欠席して図書館通いをした人たちがいます。その理由はさまざまで、 ①経済的な理由で学校(または大学)へ通えなかった、②学校になじめない、学校へ通うのが苦痛だった、③読書(または研究)を優先せざるをえなかった、などがあります。 以…
かつて図書館の本を隠す人たちがいましたし、今もいます。その理由はさまざまで、方法もさまざまです。隠す人の大部分は図書館の利用者ですが、たまに図書館の職員も本を隠します。以下、隠す理由ないし目的ごとにご紹介しましょう。 特定の本を読ませないよ…
図書館では、やむを得ない事情のある人に代わって本を借りることができます。「やむを得ない事情のある人」とは、未就学の子ども、怪我人や病人、歩行のむずかしくなった高齢者、などです。 たとえば、ジャーナリストの松井やよりは高校生時代を中心におよそ…
図書館で寝泊まりする人には、図書館の職員と、図書館の利用者の2種類があります。 偉大な数学者にして哲学者であったドイツのゴットフリート・ライプニッツ(1646-1716)は、ほとんど生涯にわたって図書館にかかわった人でもありました。そして、ありきたり…
図書館にはたくさんの本がありますのに、特定の本に利用が集中するばあいも少なくありません。とくに、話題になっている新刊の小説には、ひとつの自治体の図書館に数百件の貸出予約が殺到することもあって、文芸書中心の出版社や一部の作家などから、20世紀…
三崎亜記氏の『廃墟建築士』(集英社、2009)に「図書館」という短編が含まれています。 これは、図書館蔵書の調教を請け負う会社の若い女性社員が主人公のファンタジーで、彼女が調教した本は徐々に動くようになり、浮かび上がり、空中をただよい、ついには…
広い世間には図書館の本を読み尽くそうとした人たちがいましたし、今でもいるようです。 まず菊池寛(きくち・かん)の「図書館の追憶」と題する短い回想の一部をご紹介しましょう。 「私の中学時代、もっとも有がたい事は高松に図書館が出来たことである。…